Vブレーキのシュー取り付けで、相談を受けたので、ちょっと書いてみます。
シマノのディーラーマニュアルを元に説明を進めていきます。
★ブレーキシュー取りつけ部分に入れるワッシャー
ネジを外した途端、沢山のワッシャーが散乱して順番が全く解らなくなった。
これについては
「注意して分解してください。」
としか言い様がありませんが、元の状態・数量が把握できていないと、落としたワッシャーの捜索においても、問題が発生しますので、基本のマニュアルに立ち返るのが得策です。
また、大量のワッシャーの順番についても、マニュアルを参照するのが近道です。
但し、上図にだけ頼ってはいけません。
あくまでも一例です。
組込の順番については、以下の注意が書かれています。
ここ32mm以上との表記があります。
ワッシャーBの(厚い/薄い)を入れ替えて
具体的には、
このようになります。
この部分の距離32mmは、ブレーキ引きしろだけではありません。
上図補助線の説明です。
青太線 ブレーキ開放状態
青細線 ブレーキ開放状態のブレーキシュー下端
緑太線 シュー新品時のブレーキ利き始め位置
緑細線 シュー新品時効き始めブレーキシュー下端
赤太線 シューすり減った時のブレーキ利き始め位置
赤細線 シューすり減った時効き始めブレーキシュー下端
青太線と緑太線の隙間がブレーキの遊びと言うことになります。
左右図の シュー新品時とすり減った時のブレーキシュー下端 に注目してください。
左図の方が、差が小さくなります。
寸法[A]が大きい方が、ブレーキシュー下端の変化量が少ないということが解ります。
シューとリム当たり面の位置関係
シューの上下幅と、リムのシュー当たり面の幅は、
シュー上下幅+1.5mm > リムあたり幅
程度でしょうか?
新品シュー取り付け時に、リム上端から0.5mm程度のクリアランスで取りつけると、リム下端側には1.0mm程度のクリアランスとなります。
ノーメンテナンスで、使い続けると、シューがすり減り、シューの当たり面はどんどん
下方向に移動していきます。
変化量が大きいとどうなるか?
ここで寸法[A]が狭い条件で、シューがすり減ると、シューはリムの当たり面を大きく逸脱することとなります。
適正に調節しても、シューがすり減るとシューがリム当たり面の下側に脱線し、シューの偏摩耗が生じます。
シュー下側に、耳ができています。
どの位が適正範囲かは解りませんが、
寸法[A]が小さい状態で、新品シュー交換以降ノーメンテナンスの自転車で、シュー下側の耳が大きく成長し、ブレーキ操作のつど耳が引っかかりスムースな操作を邪魔している個体を見たことがあります。
ブレーキシューの実効あたり面積が減少すれば、当然ブレーキの効きも悪くなります。
きっちり調整しても、新品からシューの寿命迄の間に2~3回程度のメンテナンス
内容としては、
・シューに刺さった金属片の除去
・シューの当たり面のサンドペーパーによる清掃
・シューの位置調整
など必要になるかと思われます。
寸法[A]については、ザックリと
シュー新品時に赤線の部分が、垂直になっていれば、良いのでは?
個人の感想です。
乗っている人の日々の点検メンテナンスは必須ですが、
もし長期間点検できないお子さんなどの自転車をメンテナンスする際には、使い込んだ後の・すり減った後の状況がどうなるのか?
を想像してメンテナンスしてあげて下さい。