自転車メンテナンスのグリースについてのお話です。
グリースの基礎的なお話は、沢山の方が書いておられますので、ここでは自分自身が使って良かったグリースを偏見に基づいて、紹介させていただきたいと思います。
結論として、
カンパピーナッツグリースの製造が終了してから何でも良くなりました。
盲信していました。
昔は、
・カンパピーナッツ
・シマノデュラグリース
・シェパープカーボン(グラファイト?)グリース
等、自転車専用グリスを使っていました。
その後自動車のメンテナンスを経験して、グリスに関する知識をため込んで、
最終的に落ち着いたのは、
工業用グリース
です。
○○ブランドのグリスが良い
との考え方から、
××の部分には、△△成分のグリースが良い
へと変化しました。
★ハブ、ヘッドパーツ、BB
ウレアグリース
耐水性に優れ、高温に耐える。
が特徴です。
耐水性に優れると言う側面は、シノコングリースは更に優秀です。
しかし、シリコングリースは金属同士の潤滑は苦手なようです。
以前自分自身で犯してしまった失敗は、
「シリコングリスをカップ&コーンのハブに使って浸水した」
です。
抵抗にならないようにハブにシリコングリースを、充填率60%程度で組み上げ、雨に降られた結果。
ハブの回転がゴリゴリする。
分解すると、シリコングリースが水に弾かれて、二粒だけ全くグリースが絡まず水まみれのベアリングが出てきました。
これが耐水性が高いグリースの欠点です。
グリースで満たされているのに、ベアリングにグリースが絡まない。
と言う現象が発生します。
従って、雨の中を走る機会の多い自転車のハブ、BB、ヘッドパーツのメンテナンスについては、
- 防水部分のみにウレアグリースを使用する
- 水が入る可能性のある部分には石鹸基グリースを使用する
- 非防水部分にウレアグリースを使う場合にははみ出す位てんこ盛りに使う
1.防水部分のみにウレアグリースを使用する
カップ&コーンのハブでも外側にしっかりした防水のゴムパッキンのついた物
禁じ手ですが防水シールのついたシールドベアリングのグリスアップ
2.水が入る可能性のある部分には石鹸基グリースを使用する
石鹸基の名前がある通り、油と水を乳化する能力があります。
もしベアリング部分に水が入ってきても、ベアリングとレース間に最低限の潤滑を保つ事ができます。
防水性能の皆無なカップ&コーンで、
・メンテナンスがおろそかになる実用車
・雨に降られても走り続けなければないらないツーリング車
等に要求される性能です。
基本的には、水が入って乳化したグリスは全交換が望ましいです。
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3.非防水部分にウレアグリースを使う場合にははみ出す位てんこ盛りに使う
非防水のカップ&コーンタイプの回転部分には、今のところベストな方法と思い採用しています。
グリスの充填率と言うことでは、120%(?)以上になります。
充填率が上がることにより、回転が重くなる事のトレードオフとして、防水性能を得ることができます。
グリースに防水パッキンの役割をして貰おうという考え方です。
埃が付着するのが難点ですが、使用している限りでは、定期的にメンテナンスしていれば、その埃が回転部分に侵入していく事もなさそうです。
どちらにしても、非防水のカップ&コーン軸受けは、こまめな分解整備が必要なことに違いありません。
また、シールドベアリングタイプのヘッドパーツの防水としても、碗部分にウレアグリスをこってりとはみ出すくらい塗り込んでいます。
これには潤滑の目的はなく、100%防水のためにだけ使用しています。
★スクエアーテーパー、ボルト
この部分には焼き付き防止目的で、固形潤滑剤配合のグリスを使用しています。
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二硫化モリブデングリスは、耐水性に劣る等の説もありますが、この辺りは水が入らないため問題にはならないと考えています。
締め付けトルクの高いネジ。例えばクランク固定のフィキシングボルトナット並びにその座面。BBカップネジ。固形潤滑剤配合のグリスの対象です。
締め付けトルク5Nm以下のボルトは気にせず普通のグリスを利用しています。
極圧グリースはベアリングにも最適となっていますが、固形潤滑剤は、もしグリース本来の油膜切れを起こした際の保険として働くようですが、自転車ではそこまでの極限状態はあり得ないでしょうし、この部分は無視しても良いかと思われます。
但し固形潤滑剤の滑り感の魅力も捨てがたいので、ウレアグリース+テフロンパウダーを利用しています。これであればグリスに色がつかないためグリス汚れも確認しやすく気に入っています。
それよりも、グリス単体の色が濃いため、メンテナンス時のグリスの汚れが見えないため、敬遠しています。
★ブレーキワイヤー
アウターワイヤー内に樹脂ライナーが使われているため、鉱物系のグリスを使う事により、樹脂の劣化を引き起こす危険があるため、シリコングリースを使用しています。
クレのシリコングリースメイトはテフロン配合でインナーワイヤーの抵抗を減らしてくれます。
また、一部のブレーキレバー等、スラストベアリングにナイロンワッシャーを用いた部分にも、樹脂パーツ保護の目的でシリコングリスを用いています。
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更に、インナーワイヤーもテフロン加工物を使えば、極上スベスベです。
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アウターワイヤーのエンド部分に金属キャップを被せますが、これにもう一贅沢して、ノーズ付きの物を採用しています。
ブレーキレバー側、フレームのアウター受け部分、ブレーキアウター受け部分。ありとあらゆるアウターのエンド部分に使います。
このキャップにグリースを詰め込み、差し込んだワイヤーでグリースを押し出す勢いで組み付けます。
これにより、アウター/インナーワイヤー間から毛細管現象によって侵入してくる水をグリースがシャットアウトしてくれ、メンテナンス頻度の軽減と、ワイヤーの長寿命化が実現します。
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★ピラー類
スレッドのハンドルステムやシートピラー等のさび付き防止については、ウレアグリースやシリコングリースです。
この部分アルミと鉄の電位差による腐食を起こし強烈な固着が発生します。
2種金属間に水が媒介することにより、電触が加速されるため、水を引き寄せる可能性のある石鹸基グリースは除外しています。
耐水性が高く、絶縁性のあるシリコーングリースが最適かと思われますが、いかんせんお値段が、、、
適当に外の自転車置き場で整備しているママチャリ(アルミシートピラー)で、石鹸基グリースをさび止めに使ったことがありますが、半年くらいなら固着の前兆も見られませんでした。
「何を塗るか」 よりも 「塗るか塗らないか」の方が重要のようです。
塗るなら徹底的に。 シートピラー背面の割部分にもすり込むように防水すると尚効果が高いような気がします。
ついでにシートピラー防水リングを付けておくと気分的に水に強そうです。
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あくまでも自己流で誤った使い方があるかも知れませんが、一つでもお役に立つ情報があれば、是非マネしてみて下さい。