シマノ105スポロケットと、KMCチェーンでの鳴りが発生したので修理を行いました。
症状
1.リア7段目に入れたときのみチェーン鳴りが発生する
2.コツンコツン、コトンコトンという感じの音で足に伝わってくる
3.フロントアウター/インナー共に発生する
4.クランク一回転につき複数回
5.新車当時から発生
6.リアスポロケを組み直す度に、重症化したり軽症化したりする
7.チェーン交換しても改善はする物の根本解決にならず(シマノ→KMC)
8.スペーサーを交換しても大差なし
乗った感じはこのような症状です。
整備台に載せて検証してみます。
ディレーラーの要因を排除するために、クランクを逆回しにして確かめてみると、走っている時よりも顕著にチェーン鳴りが確認できました。
アウター/7段の時のみ。クランク一回転につき、3回のチェーン鳴り。
フロント53/リア17なので、53÷17ほぼ3。と言うことでスポロケットに問題があることが明白に。
更に細かく観察すると、
チェーンは赤矢印方向に回転させています。
青矢印部分の白のペイントでマーキングした、6段目のギヤーの歯先に、7段目に掛けているチェーンのアウタープレートが乗っています。
チェーン鳴りの原因は、この6段目の白マーキングした歯と、現在チェーンの掛かっている7段目の歯のクリアランスが不足している事。と断定して間違えありません。
スポロケットを分解して、目を皿のようにして観察すること30分。
なんとなく、6段目のスポロケットの裏側(ハブ側)の仕上げが今一のような、、、
面の出ているオイルストーンでさらってみると、、
写真では解りづらいですが、赤丸囲み部分に微妙にアタリの強い部分が浮かび出てきました。
青矢印部分にうっすらと点いている筋は、スペーサー外周の跡です。
特にアタリの強かった、右赤丸の近くではスペーサー外周の跡が、他の部分より僅かに薄く途切れ掛かっています。
赤丸囲み位置は、白でペイントをした歯の180度位置。裏側とほぼ一致します。
この部分を平坦になるまで研磨して様子を見てみます。
組み上げてから、再度メンテスタンド上でクランクを逆回転して観察します。
白マーキングの刃先での、チェーンの乗り上げがなくなったようです。
実走で確認が必要ですが、修理成功のようです。
極端な図ですが、このように部分的にスポロケット歯先のクリアランスが不足していたことが原因のようです。
今回の修理は相当無理矢理感のある修理なので、参考になるかどうかは疑問です。
普通であれば、スポロケット交換が修理の王道と思います。
スポロケットを交換したら直った。拠ってスポロケットが悪かった。
めでたく修理完了。
とするのは個人的に“?”です。
その部品のどこに不良があるのか?を追求して自分自身のスキルアップのためにフィードバックするのが、正しい自前メンテナンスの姿と思っています。
今後問題のスポロケットを交換する事になって、
「なーんだ、結局換えて最終修理完了じゃねーの」
という結果になってもそれはそれでいいと思っています。
にしても、、、
このような問題が発生する根本的な原因は「リアの必要以上の多段化」と思います。
未だに35年ほど前のロードも所有していますが、リアスポロケはサンツアーのウルトラ6。普段使いにはほぼほぼOKです。
時代の流れでリア11速を使っていますが、このような問題以外にも
・チェーンの短寿命
・リアホイールの極端なおちょこ組→ホイールの剛性低下
・不細工な130mm幅広リアビュー
・コンポの混用不可
等々、、、
結局メーカーの新商品投入&買換需要による販拡に振り回されているような気がしてなりません。(自分も振り回されている内の一人)
「勝ち」に「価値」のあるレースの現場では、当然の進化と思いますが、
工作精度に十分なコストを回す事ができない量販部品にまで、上位グレードの思想を投入するのは少々疑問が残ります。
メーカーとしては、
「莫大な予算をレースに投入して、"その技術を"一般ユーザーの手の届く商品ラインナップにフィードバックしました。」
とのスタンスですが、そろそろレースの現場と、ホビーサイクリストの隔たりが大きくなりすぎたような気がします。
コストの問題でレースからフィードバックできるのは「技術」ではなく「テイスト」止まりではないかと思います。
そして、コスト制約の尻ふきをさせられるのは、現場の整備担当者。
ちょっと悲しいです、、、
というか、
メンテ好きとしては、ちょっと楽しいです。