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ロードバイクヘッドチューブ廻り異音 ~意外な原因

 


異音のトラブルシューティング

自転車に限らず自動車、オートバイでも奥の深い修理です。

 

今回はヘッドチューブ付近からの

パキパキ コツコツ コチコチ カチカチ

等と表現される種類の異音です。

 

結論から言うと ヘッドパーツの圧入の問題  でした。

 

以下、順を追って説明してみたいと思います。

 

1.問題点の切り分け

 原因場所の2つを探していきます。

1-1.原因

「パキパキ」音

 第一候補 ベアリングの異常

   →定期的な回転と関係した音。負荷により出たり出なかったり。

 第二候補 パーツの固定不足  

   →回転と関係なし。負荷により出たり出なかったり。

 第三候補 フレームの異常

   →軽症:負荷により出たり出なかったり。 重症:常に異音。

 

1-2.場所

 自転車の場合パイプが共鳴して音源と離れた場所から聞こえるため固定概念を捨てることが重要。

 

2-1.トラブルシューティング実践(走行中)

症状:走行中にハンドルに負荷をかけるとパキパキ音が発生。

細かく観察した結果

  ペダルの回転と音の発生は同期していない。

  荒れた路面で頻発。両手を離しても荒れた路面では異音が発生。

        ハンドルの切り角に関係があるようなないような、、

●ヘッドのガタツキ→異常なし

●前輪のクイックレリーズ締め直し→変化なし

●前輪クイックに共止めのライトの取り外し→変化なし

●前輪クイックのたけのこスプリング取り外し→変化なし

 

 

2-1.トラブルシューティング実践(整備台上)

・前輪を接地した状態で下ハンに体重を乗せると異音発生

・ステムからハンドルを取り外しステムに直接体重を乗せると異音発生

・前輪を取り外し作業台※にセットし体重を乗せると異音発生

  

上記3条件はハンドルの角度を変えて試してみると「鳴る角度」が存在しています。

右に20~45°ハンドルを切った時に発生する頻度が高い。

 

 

以上から考えられることは、

  • ハンドル&ブラケットは無罪
  • ブレーキ&シフトケーブルは無罪
  • 前輪は無罪

残るは、ヘッドパーツ・フレームのみです。

 

2-3.トラブルシューティング実践(フレームチェック)

ひたすら10円玉で、フレームを木ツツキのようにコツキ回します。

クラックが入っていれば、こもった音がするので、問題を発見することができますが、初めての場合は、音の変化に気が付きにくいと思います。

パイプの右側、左側からチェックして、左右で音に違いが無いかをチェックすると解りやすいと思います。フロントフォークはこの方法が非常に有効です。

今回は、

 トップチューブ~ヘッドチューブの溶接。

 フロントフォークのショルダー部分の溶接。

が怪しいような気がしたので、溶接ビード付近の塗装を剥がして、クラックの目視チェックを行いましたが、ここにも問題ありませんでした。

 

2-4.トラブルシューティング実践(ヘッドセット分解)

上記の結果原因はヘッドセットに絞り込まれたので、ヘッドセットを分解します。

  • ヘッドセット分解清掃グリスアップ
  • ヘッドセット分解、リテーナーからボールベアリングを外して清掃グリスアップ
  • ヘッドセット分解、上下ワン&フォーク側ベアリングレース取り外し

ここで、フォークのベアリングレースに塗料が残っているのを発見。

フォークのレース当たり面の塗料を完全に剥がして全てのパーツを組込直し。

 

これでやっと異音が解決しました。

この時すでに発注していた、新しいヘッドパーツが届いたので、再度ヘッドを全分解。

組込直してみると、再び異音発生。

再度ヘッドを分解して、フォークのベアリングレースを打ち込み直し。

これで、都合7回ほどヘッドの分解組み立てを繰り返して、やっと修理コンプリート。です。

 

考察

BBのリファースでも、問題にしましたが、このような部分の塗装は本当にやっかいです。

 

打ち込みの作業は、確実に密着するまで叩き込むのが鉄則なのですが、

アルミ素材のフォークに鉄素材のレースを打ち込む際に、恐怖心が先立って完全に打ち込めなかったようです。

セルフメンテナンスでは、このような部品は、完璧を気にしすぎて、強い歪みを残すほど圧入するよりも、一度組み上げて、不都合が出たら再圧入をする方が部品に優しいと思っています。

例えば、自動車のファンベルトも滑らないギリギリのテンションで張るのがプーリーベアリングに掛かる負担が少なく、長持ちするのは当然ですが、整備工場でベルト交換をすると適正テンション150%で張ってくれます。

当然です。初期伸びが発生してすぐにベルト滑りするようでは、お客さんにお金がもらえませんから。

暑い夏、極寒の冬、次回ベルト交換まで滑りが発生しない作業がプロには求められます。

 

対して、セルフメンテナンスでは、ベルトが滑らないギリギリのテンションで張って、少しでも音がするようであれば、すぐにテンションアップ。気温が下がってベルト泣きが発生すれば、すぐにテンションアップ。

常に自分の管理下に置いた状況だからこそできる、最良の整備を楽しむことができるのが、自分で弄る醍醐味です、

目一杯 セルフメンテナンスを楽しみましょう!!!

 

 

 

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