これまで、数多くのBBを外してきました。
興味本位で廃車のBBをバラした物も含めれば、ざっと40個位でしょうか、、
最近は、破壊せずほぼ100発100中で緩める迄に成長しました。
ねじ切りタイプのBB限定の方法です。圧入タイプには参考となりませんのでご了承下さい。
BBの外れにくい理由
- きつく締め込みすぎている
- さび付いている
- フレーム側のネジに塗料がついている
- BB部品側のネジにネジロック剤がついている
- 斜めにねじ込まれてネジ山が崩れている
- 溶接されている
一般的には1~5が原因と思われます。
6は5の結果取りつけることができずに、無理矢理このような修理をしたと思われます。一度だけ見たことがありますが、超レアケースで例外です。
まず固着したBBを外す方法を紹介する前に、簡単に外す方法を紹介します。
「組み付けの際にネジ山を綺麗にしてグリスを塗る」
「真っ直ぐにねじ込む」
当たり前の事ですが、基本に忠実に作業することが重要です。
何を差し置いても、これが一番大事です。
以前に自分で組み付けたBBが固くて外れない場合は、自分を恨んで下さい。
◆前準備編
「2.さび付いている」
CRC556 WD40 ラスペネ 等を吹き付けます。
一週間位気長に、一日に何度か吹き付けては、金槌でコンコンを繰り返します。
「2.さび付いている」
「3.フレーム側のネジに塗料がついている」
「4.BB部品側のネジにネジロック剤がついている」
●加熱します。
加熱すると、ベアリングのシールや内部のプラスチック部品が破損することがあります。再使用の場合は十分に確認して下さい。
80Wクラスの半田ゴテでBBを熱します。
ヒートガンがあれば、更に良いかも知れません。
ネジロック剤が強度を失う温度は150~200℃位と言われています。
塗料も加熱すると軟化します。(アクリル/ウレタン)
さび付きの場合も、温度が上がると金属が熱膨張して、固着がはずれます。
カセットBBでは、片方が外れていればBB軸を反対側にハンマーで叩き出します。
ホロテックの場合は、片方が外れていれば反対側からコテを差し込み内側から加熱します。
両方とも外れていない場合は、フレーム外側から加熱します。塗装にダメージを与えることがあります。
工具の前準備
カセットBBの専用工具です。
新品の工具には「ざぐり」されています。
工具が入りやすくするための、工具メーカーの思いやりなのですが、実際固いネジを外す場合は、工具の入りやすさよりも、接触面積の大きさが重要となってきます。
グラインダー等で、工具の面を、このざぐりが無くなるまで削り込みます。
◆実作業
前準備が整ったら、実際に工具を掛けてネジを緩めていきます。
この時に大切なことは「安定した態勢」で力を掛けること。
フレームを単体にして、シートステーを床に押しつけてBBの裏側を天に向けて安定させます。
・カートリッジBB
経験上このタイプが一番工具が外れやすく、舐めやすく外しにくく やっかいです。
この工具ブレーカーハンドルと組み合わせて使われることが多いと思います。
固着したBBを外す時に、柄の長いハンドルを使ったり、パイプで延長したりするのが一般的なアプローチですが、BBを外す場合に限ってはこの方法はNGです。
ただでさえ嵌まりが浅い工具のため、柄を長くすると高確率で工具が滑って外れます。
写真左のナット&ワッシャーを準備します。
M8 ピッチ1mm 長さ 35~40mm
特殊規格ネジですが、大型のホームセンターで購入可能です。
クランクを止めているボルトでは短いので、長いものが必要となります。
ホームセンターには様々なネジ/ナットが一枚のプレートに取りつけられたネジサンプルがありますので、ボルト現物を持って行くと、買い間違えが無くなるのでお勧めします。
工具を先ほどのネジでBB軸に確実に固定し、絶対に外れない状態にしてから、リーチの長いモンキーレンチで回します。
経験上この方法で、固着しているBBの7割位は外れてくれます。
この方法で外れない場合は、上の加熱を試すと外れないBBはほぼありません。
BBを甘く見ず、未知のBBの場合、初めから必ずネジで専用工具を固定した状態で作業を開始することが重要です。
最初の一発で工具の嵌まる溝を舐めてしまっては、その後の手段全てを失うこととなります。
・ホローテック
絶対にダメとは言いかねますが、固着したBBを外す場合は、開口部が歪んで力が逃げるため、避けた方が良いかも知れません。
私の持っている物はそうです。
精度、強度のしっかりした物もあるかも知れないので、断言は避けますが、、
この工具は下のシマノ純正工具と併せて、組み付けの際に使うのが良いと思います。
プラスチック製ですので、部品に傷がつきにくく、締め付けトルクの管理にも適していると思われます。
では、取り外しに使う工具は? というと、
全周から掴める工具が適していると思われます。
延長パイプを使わずに、フレームをしっかりと固定した上でこの工具を使えば、約4割は外れます。
これで外れない場合は、深追いをせず前準備の加熱を行えば、100%外れるはずです。
開口部のある工具に比べ工具が歪まないため、力を加えすぎると部品の工具が掛かる溝が潰れてしまい、その後はパイプレンチで掴んで、強引に外さなければならなくなります。
他人に泣きつかれたホローテック外しの時には、殆どがこの工具の出番となります。
殆ど破壊、、ですね。
・カップ&コーン
反ドライブ側については、固着している場合はポンチとハンマーで振動を与えながら緩めると、殆どの場合緩んでくれます。
このタイプの、ドライブ側のカップの固着は、他のタイプのBBに比べて激しく固着してる物が多いように思われます。
ママチャリ等実用車に使われているため、部品精度、取り扱い、保管状態の問題があるのかも知れません。
どのように外すか?
あちこちのサイトで良く紹介され王道的な方法ですが、M14かM16のボルトとナットで、カップを内と外から挟み込んで、リーチの長いレンチで回す。加熱と併用すると、勝率100%です。
ここで、使用するナットですが、クロメートの物より、黒染めのナットがお勧めです。
黒染めナットの方が、材質が固いようです。
カップのベアリングの当たり面は、表面が硬く処理されているため、取り外しに使用するボルトも硬い材質を使用した方が、カップに喰い込み空回りしにくくなり、成功率が上がるようです。
BBを外すか、フレームを捨てるか。悩んでいる方のヒントになって、一つのフレームでも救うことができれば幸いです。